DVDが発売されたので、映画『硫黄島からの手紙』を見た。(どうでもいいことではあるが、もう20年以上映画館では映画を見たことがない)

多少、冗長なところもあるのだが、いろいろな意味で考えさせられる映画だった。
戦後、半世紀以上も経つのに、日本でまだこれほどの戦争映画が作られたことがないというのが、悲しいところだ。

徒に日本人を愚昧に描いたり、或いは悲劇の主人公として描いたり、「平和が一番」と言わんばかりの主義主張がにじみ出しているだけの映画しかこれまで見たことがない。もちろん、「一番」であることに間違いはないのであるが・・・。
思うに、クリント・イーストウッドとスティーブン・スピルバーグ、かつての「敵国」アメリカの映画人の制作になるこの映画で初めて、日本の英霊の魂、やっと慰められたのではないだろうか。美化もされたくはないだろうし、徒に卑下されたくもない。それが戦没者たちの本当の気持ちではなかろうか。

ネタバレになってもいけないので、ここまでとして、あとは是非一度見て頂きたいものである。

ところで、先日、弘報舘の大田さんのことを記事に書いたが、彼とともに弘報舘を築いた共同経営者、故馬場新平氏は弘報舘の経営が安定するとその経営を大田さんに委ね、自らはビルマに戦没者の遺骨収集に旅だったという。同時代を生きたものとして、「骨でも拾わなければ」という思いがあったのであろう。