最近、年をとってくるに従って、当然の事だろうか、年寄りの友達が増えてきた。友達とはいっても、一緒に遊びに行ったりするうようなのは若い時の話で、年をとると時に顔を合わすだけで十分「お友達」の範疇にはいるようだ。

そうはいっても、そんな淡泊な関係のなかでも、ふとした弾みで長話に花がさくことがあり、そうした時、改めて、その人のそれまで知らなかった人生の一面に妙な感動を覚えることがある。

今日は、美弥さん(仮称)の話。

美弥さんは、38で夫を亡くし、以来50年、遺された二人の子供を自分の働きひとつで養ったという。
亡くなった夫の仕事で、見よう見まねで覚えた、友禅の金細工が生計を支えたという。といっても、決して楽に儲かるようなものではなく、布団の上では寝られない生活が何年も続いたという。仕事をずっと続けて、疲れたらそのまま畳の上で寝てしまっていたという意味ではあるが。
美弥さんはお母さんは、38で8人の子を遺して亡くなっており、その兄弟姉妹の面倒もずっと見続けたあげくのことでもあり、お母さんが亡くなった年齢と自分が夫を失った年齢の一致にもなにかの縁をかんじておられるとのことだった。
今は、子供さんを始め多くの友人にも恵まれ、ついこの間、米寿を祝ってもらったのだと、明るく話しておられた。

今でも、人のお世話をするのが一番好きだとのこと、始終忙しくされておられるとのこと。高齢にも関わらず、ぼけもせず達者でいられるのは、そのおかげと思っているとのことである。